毎日が小さな修行24.

From : 田渕裕哉(2023/03/22 06:14:35)

2023年3月22日(水)
おはようございます。今朝は曇りの千葉からです。今日は松山へ行きます!

すべては志からはじまります。志とは、自分の利益ではなく、
すべての人の利益に目を向けること。
インパクトの少ないことを100個手に入れるより、
すべてが変わるたった1つを求めよう!

私たち修行僧の仲間は、何があったのか皆知っていました。

しかし、師匠の弟さんはお寺では結構な立場の方でしたから、師匠から
「最近、中井さん来いへんな」といわれても、誰も何もいいませんでした。

ある日、私は師匠に呼ばれました。

「最近、中井さんが来いへんけども、理由、知っておるか」と師匠は私に聞きました。

私が「理由は知っております。
しかし、私の口からは申し上げることはできません」と答えると
「わしは当事者には何もいわんし。君が一番親しいんだから、
何か知っていたら話してくれ」といいました。

師匠にそういわれ、私はありのままに話しました。

そして、中井のおじさんが「本山の事務所には二度と足を向けない
本尊さんに対する気持ちは何も変わらないので、たまにお参りには来るけど、
手伝いには二度と来ない」といって帰られましたと伝えました。

すると師匠は「よし、わかった。よくいってくれた。ありがとう」といい
「当事者には何もいわない」といっていたにもかかわらず、
すぐに弟さんを呼んで説教をされました。

その方とは毎日顔を合わせますし、昼と夜のご飯も一緒に食べますから、
身が縮こまるような思いでした。

でも、弟さんは私を絶対に責めませんでした。

また、今となれば私も師匠と同じことをするだろうと思います。

 

原因がわかって、翌日、師匠はすぐに私を連れて中井のおじさんの家に行き、
両手をついて「寺の者が失礼をして申し訳なかったですなぁ」と謝罪をしました。

中井のおじさんはびっくりしていましたが、一緒について行った私も驚きました。

一宗派の管長という立場のお方が、宗門の信徒に対して誠を尽くしている。

その姿は非常に衝撃的で、今でも鮮明に覚えています。

師匠は得度式のときにお話しになったことを身をもって体現し、
教えてくださったのだと思いました。

普通ならば、あり得ない話です。

しかし、いかなる立場であれ、謝るべきところは謝らなければならないということを、
頭を下げる師匠の背中から学びました。

田渕 裕哉

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